ソース:http://www.47news.jp/CN/201203/CN2012032801001201.html
防衛省が発注、三菱重工が開発しているステルス実証機「心神」の組み立てが始まったそうです
最近のF-Xの選定機種がロッキード・マーチンのF-35Aに決定し、少しばかりその話題で影が薄くなってましたが、ようやく組み立てが始まったわけですな
F-Xがたび重なる選定延期の末にF-35Aに決定したこと自体はよかったんですが、当のF-35がまだ未完成であり、しかも最近はその開発費が高騰と開発の遅れが度々問題になっております。(当初は日本がF-15Jを導入した時よりも安く買えるはずだった)
F-35は、JSF(統合打撃戦闘機)として、現在稼働中の各国空軍戦闘機をこのF-35だけで賄えるように開発されたステルス機であります。ステルス性能は過去に実用化されたステルス機のデータを元にそれぞれの欠点を改善した結果、F-22よりも高いステルス性を持つと言われています。
空軍向けのF-35A(CTOL機)、海兵隊向けのF-35B(STOVL機)、海軍向けのF-35C(CV機)の三タイプが、それぞれの部品に互換性を持たせて同時開発されています。
しかしながら、三機種同時開発するということは、どれか一つでも開発が難航すれば、全体の開発にも影響を及ぼすという事でもあります。結果としてB型を筆頭にいろいろと問題が発生し、開発に遅れが出ているのです。当然生じた問題を解決するためにはお金と時間を必要とするので、中々完成しない。(一応少数の量産機が配備予定の一部の国に納入されていますが、そのテストでも問題が発生しているらしい)
まあ、アメリカや欧州の国々の場合、既に独自に開発したものを所有しているので良しとしますが、日本のようにF-4ファントムを未だに要撃の主力として使っている国にとってはもう時間があまり残されていないわけです。(現にオーストラリアはF-35の採用を一度決定したものの、開発の遅れを理由にまた採用計画を白紙に戻した)
とりわけ空自のファントムは、もう40年近く現役で、最近では「延命処置」として飛行時間を減らしてまで運用しているらしいです。もはや世にはファントムの「孫」にあたる戦闘機が飛ぶ中、仮にF-35の配備が間に合わず、退役してしまったら防空は穴だらけになってしまうので、結構深刻な問題かも。アメリカ空軍でさえF-35の実戦配備は2017年以降としているし、本当に大丈夫なんだろうか。
そんなわけで、日本でも一応F-35がダメになった時、早急に国産機の開発が必要になった時やいずれ次世代主力戦闘機を自力開発しなければならない時に備えて、次世代機をちゃんとした考証に基づいて作るために「心神」を開発しているわけです。いわば次世代機開発計画の第一段階といったところか
仮にF-35がおじゃんになってしまって、日本が仕方なくスーパーホーネットやタイフーンあたりをつなぎとして採用しても、その間に「心神」をベースにした次世代機を作るということもできますしね。
「心神」は、ステルスが昨今の第五世代戦闘機の前提になっていることを踏まえて、日本の技術力でまともに機能するステルスを開発可能かどうかを実証することを目的として開発されており、数年前にモックアップモデルが公開されています。
F-22やF-35、ロシアのPAK-FA:T-50といった最新鋭ステルス機に近い形状をしており(ステルス性を追及した結果、最終的にはあの形状にたどりつくと言われる)、エンジンは双発で、傾斜のついた垂直尾翼やインテーク、主翼尾翼などはいわゆる平面整列といわれるものになっています
モックアップの段階ではコックピット周りに当時退役したF-1戦闘機のものが多数流用されており、その時点でのステルス性能には疑問がもたれていましたが、あくまでもモックアップなので気にするところではないでしょう。現に最近公開されているイメージ図には新機軸のキャノピーを確認できます。
またステルス以外にも、推力変更ノズルが採用されていたりと、高機動研究にも使われているようです。
ただまあ、F-xにしてもこの「心神」にしても、次期主力戦闘機は「ステルス」であるということ前提で話が進んでいますが、果たして専守防衛の日本が「ステルス性能と高い地上攻撃能力を持つ戦闘機」を採用する必要はあるのかどうかという疑問もありますよね~
でもやっぱり世界の流れに歩調を合わせると必然的にそうなっちゃうのかな
ちなみに日本における過去の「研究実証機」としては、T-2練習機を改造した「T-2CCV」が存在し、これは主に新型操縦アビオニクス(特にフライバイワイヤ)の研究に使用されました。
後にこの研究の成果は、F-2を開発する時にフライバイワイヤのソースコードを作成するのに役立ったそうです。(ソースコードの作成の理由は、半ば強制的にF-16を元にする共同開発を推し進めたアメリカ軍があろうことかソースコードの提供を拒否したためで、もしT-2CCVの研究成果がなかったら、と考えると恐ろしい。そんなわけでこのT-2CCVの研究成果の貢献度は非常に大きいのです)
戦後の日本は、「高い技術力は持つが、戦闘機を自力で作り上げる実戦的ノウハウない」上、一種の「戦争アレルギー」によって中々純国産で思うような性能のものが作れいていないというのも事実です。
結局、全部国産で作ろうとすると必ず値段が高くなっちゃうんですよね。しかも武器を輸出することができないので、国際的なマーケティングにも役に立たない。戦闘機ではないけど、自衛隊が採用する89式小銃が「日本の武器の価格と需要の現実」が顕著化したいい例だと思う。(ただし自衛隊の場合、武器の配備数が他国の軍隊のそれとは比べ物にならないくらい少ないので、高価格でも調達費の合計は実質的にあまり変わらないともいわれますが)
「心神」の完成と初飛行は2014年。うまくいってくれるといいですな~
防衛省が発注、三菱重工が開発しているステルス実証機「心神」の組み立てが始まったそうです
最近のF-Xの選定機種がロッキード・マーチンのF-35Aに決定し、少しばかりその話題で影が薄くなってましたが、ようやく組み立てが始まったわけですな
F-Xがたび重なる選定延期の末にF-35Aに決定したこと自体はよかったんですが、当のF-35がまだ未完成であり、しかも最近はその開発費が高騰と開発の遅れが度々問題になっております。(当初は日本がF-15Jを導入した時よりも安く買えるはずだった)
F-35は、JSF(統合打撃戦闘機)として、現在稼働中の各国空軍戦闘機をこのF-35だけで賄えるように開発されたステルス機であります。ステルス性能は過去に実用化されたステルス機のデータを元にそれぞれの欠点を改善した結果、F-22よりも高いステルス性を持つと言われています。
空軍向けのF-35A(CTOL機)、海兵隊向けのF-35B(STOVL機)、海軍向けのF-35C(CV機)の三タイプが、それぞれの部品に互換性を持たせて同時開発されています。
しかしながら、三機種同時開発するということは、どれか一つでも開発が難航すれば、全体の開発にも影響を及ぼすという事でもあります。結果としてB型を筆頭にいろいろと問題が発生し、開発に遅れが出ているのです。当然生じた問題を解決するためにはお金と時間を必要とするので、中々完成しない。(一応少数の量産機が配備予定の一部の国に納入されていますが、そのテストでも問題が発生しているらしい)
まあ、アメリカや欧州の国々の場合、既に独自に開発したものを所有しているので良しとしますが、日本のようにF-4ファントムを未だに要撃の主力として使っている国にとってはもう時間があまり残されていないわけです。(現にオーストラリアはF-35の採用を一度決定したものの、開発の遅れを理由にまた採用計画を白紙に戻した)
とりわけ空自のファントムは、もう40年近く現役で、最近では「延命処置」として飛行時間を減らしてまで運用しているらしいです。もはや世にはファントムの「孫」にあたる戦闘機が飛ぶ中、仮にF-35の配備が間に合わず、退役してしまったら防空は穴だらけになってしまうので、結構深刻な問題かも。アメリカ空軍でさえF-35の実戦配備は2017年以降としているし、本当に大丈夫なんだろうか。
そんなわけで、日本でも一応F-35がダメになった時、早急に国産機の開発が必要になった時やいずれ次世代主力戦闘機を自力開発しなければならない時に備えて、次世代機をちゃんとした考証に基づいて作るために「心神」を開発しているわけです。いわば次世代機開発計画の第一段階といったところか
仮にF-35がおじゃんになってしまって、日本が仕方なくスーパーホーネットやタイフーンあたりをつなぎとして採用しても、その間に「心神」をベースにした次世代機を作るということもできますしね。
「心神」は、ステルスが昨今の第五世代戦闘機の前提になっていることを踏まえて、日本の技術力でまともに機能するステルスを開発可能かどうかを実証することを目的として開発されており、数年前にモックアップモデルが公開されています。
F-22やF-35、ロシアのPAK-FA:T-50といった最新鋭ステルス機に近い形状をしており(ステルス性を追及した結果、最終的にはあの形状にたどりつくと言われる)、エンジンは双発で、傾斜のついた垂直尾翼やインテーク、主翼尾翼などはいわゆる平面整列といわれるものになっています
モックアップの段階ではコックピット周りに当時退役したF-1戦闘機のものが多数流用されており、その時点でのステルス性能には疑問がもたれていましたが、あくまでもモックアップなので気にするところではないでしょう。現に最近公開されているイメージ図には新機軸のキャノピーを確認できます。
またステルス以外にも、推力変更ノズルが採用されていたりと、高機動研究にも使われているようです。
ただまあ、F-xにしてもこの「心神」にしても、次期主力戦闘機は「ステルス」であるということ前提で話が進んでいますが、果たして専守防衛の日本が「ステルス性能と高い地上攻撃能力を持つ戦闘機」を採用する必要はあるのかどうかという疑問もありますよね~
でもやっぱり世界の流れに歩調を合わせると必然的にそうなっちゃうのかな
ちなみに日本における過去の「研究実証機」としては、T-2練習機を改造した「T-2CCV」が存在し、これは主に新型操縦アビオニクス(特にフライバイワイヤ)の研究に使用されました。
後にこの研究の成果は、F-2を開発する時にフライバイワイヤのソースコードを作成するのに役立ったそうです。(ソースコードの作成の理由は、半ば強制的にF-16を元にする共同開発を推し進めたアメリカ軍があろうことかソースコードの提供を拒否したためで、もしT-2CCVの研究成果がなかったら、と考えると恐ろしい。そんなわけでこのT-2CCVの研究成果の貢献度は非常に大きいのです)
戦後の日本は、「高い技術力は持つが、戦闘機を自力で作り上げる実戦的ノウハウない」上、一種の「戦争アレルギー」によって中々純国産で思うような性能のものが作れいていないというのも事実です。
結局、全部国産で作ろうとすると必ず値段が高くなっちゃうんですよね。しかも武器を輸出することができないので、国際的なマーケティングにも役に立たない。戦闘機ではないけど、自衛隊が採用する89式小銃が「日本の武器の価格と需要の現実」が顕著化したいい例だと思う。(ただし自衛隊の場合、武器の配備数が他国の軍隊のそれとは比べ物にならないくらい少ないので、高価格でも調達費の合計は実質的にあまり変わらないともいわれますが)
「心神」の完成と初飛行は2014年。うまくいってくれるといいですな~
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